基礎的な3つのITリテラシーとは?リテラシー不足による危険性を解説
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業種、業界問わず、すべての企業でIT化、デジタル化、DX化が求められているなかで、働く従業員の方のITリテラシーを向上させることが重要となっています。
今回は、ITリテラシーの基礎について解説していきます。
1.ITリテラシーとは
「ITリテラシー」とは、IT(情報技術、Information Technology)を利用し、使いこなすためのスキルのことです。
ちなみに、「リテラシー」は、日本語訳では「読み書きの能力」という意味の言葉になりますが、この意味で使われることは少なく、「ある特定の分野に関する知識や理解能力」といった意味で使われることが多いです。
このITリテラシーは、資格や検定などで定められた定義などはなく、使われる場面によって意味する範囲が異なる言葉でした。
しかし、近年の企業の大小や業界を問わず、IT化、デジタル化、DX化が推進されている中で、改めて「ITリテラシーとは何か?」という議論がされています。
厚生労働省では、2017年に発表した「平成29年度ITリテラシーの習得カリキュラムに関する調査研究報告書」の中で、「基礎的ITリテラシー」について下記のように定義しています。
現在入手・利用可能なITを使いこなして、企業・業務の生産性向上やビジネスチャンスの創出・拡大に結び付けるのに必要な土台となる能力のこと。いわゆるIT企業で働く者だけでなく、ITを活用する企業(ITのユーザー企業)で働く者を含め、全てのビジネスパーソンが今後標準的に装備することを期待されるもの。
具体的には、
1. 世の中にどのような IT があり、それぞれどのような機能・仕組みを有しているか、どのような場面で活用されているかについての理解。
2. 企業・業務の課題解決場面に有用な IT を選定し、その IT を操作して目的に適う情報を取得・分析・表現し、課題解決に繋げる能力。
3. IT を安全に活用するための情報セキュリティやコンプライアンスの知識。
(「平成29年度ITリテラシーの習得カリキュラムに関する調査研究報告書」より抜粋)
ITリテラシーとしては、PCを使いこなせるといったスキルだけでなく、課題解決やセキュリティなどの知識も取得していく必要があると言えるでしょう。
2.基礎的な3つのITリテラシー
ITリテラシーといっても、情報技術の範囲は広く、学ばなければならない内容が非常に多いです。
そこでここからは、基礎的と言われる3つのITリテラシーについて解説していきます。
①情報基礎リテラシー
一つ目は情報基礎リテラシーです。
この情報基礎リテラシーは、正しく情報を活用するスキルのことです。
具体的には、情報を「探し出す」「精査する」「使う」といった能力を指します。
本質的にIT技術を使いこなすためのスキルではありませんが、インターネットの普及などにより、誰でも簡単に大量の情報を収集することができるようになった現代においては、非常に重要なスキルといえます。
この情報基礎リテラシーが低いと、情報を見つけ出せなかったり、正しい情報かどうかを判断できなかったりという弊害が発生してしまいます。
情報基礎リテラシーは、どの従業員にも身に着けておいて欲しいITリテラシーと言えるでしょう。
②コンピュータリテラシー
二つ目はコンピュータリテラシーです。
これはその名の通り、コンピュータを使いこなすスキルのことを指します。
企業活動において、全くコンピュータを使わないといった企業は少なくなっているでしょう。
ほとんどの業務でパソコンを使用するとなると、マウスやキーボードを使うと言った基本的なスキルはもはや必須のものとなっています。
もちろん、企業によって求められるコンピュータリテラシーのレベルにはかなり差がありますが、Word、Excel、PowerPointといったOfficeアプリケーションの基本的な操作は、プログラマ―やシステムエンジニアなどのIT系の職種に限らず、最低限必要とされるコンピュータリテラシーといっても良いのではないのでしょうか。
日々の業務を円滑に進めていくためにも、コンピュータリテラシーもすべての従業員に身に着けておきたいスキルといえます。
③ネットワークリテラシー
三つ目は、ネットワークリテラシーです。
これは、ネットワークやセキュリティに関する技術的な知識を理解する能力になります。
それ以外にも、インターネットを利用する際の正しい使い方を理解しているか、モラルが身に着いているか、などの意味で使われることもあります。
企業活動を行う中で、顧客情報の管理や、自社の従業員の個人情報の保護などは非常に重要です。
万が一にも、自社の情報が流出するなどの事態になってしまうと、企業としての信頼は地に堕ちてしまうでしょう。
こうしたセキュリティ対策に関する取り組みは、企業として行うだけでなく、従業員一人一人がしっかりと理解して、対策を図ることが大切です。
特に近年は、従業員が個人的に利用しているSNSから、重要な情報が流失してしまうなどのケースも発生しているための、SNSの使い方など、企業として従業員に教育していくことが必要になります。
小さなミスが、大きな被害をもたらす可能性もあるため、従業員のネットワークリテラシーを高める取り組みも実施していくことが重要です。
3.ITリテラシーが低いことによる4つの危険性
ここまで、基礎的な3つのITリテラシーについて解説してきました。
では、ITリテラシーが低いと、企業へどのような影響が出る危険性があるのでしょうか。
ここからは、ITリテラシーが低いことによる危険性について解説します。
①正しい情報を選択できない
情報基礎リテラシーが低い場合、入ってきた情報すべてを信じてしまうなど、正しい情報を選択することができないという可能性があります。
インターネットの普及により、いつでもどこでも簡単に様々な情報を手に入れることができるようになった現代ですが、インターネットから得られる情報が全て正しいとは限りません。
中には、意図的にデマを流す、「フェイクニュース」といった情報も存在します。
こういった、誤った情報を全て正しいと判断するのではなく、取捨選択できるリテラシーが無いと、最悪の場合、情報の流出や詐欺被害にあってしまうかもしれません。
情報量が多い社会において、正しい情報を選択できないことは大きなリスクとなるでしょう。
②業務の効率が下がる
コンピュータリテラシーが低いと、企業全体の業務効率が下がってしまう恐れがあります。
現代社会において、コンピュータを使っての業務は避けては通れません。
営業や事務業務など、すべてにおいて何かしらの形でコンピュータを活用していることでしょう。
そんな中で、一人でもコンピュータリテラシーが低い方がいる場合、そこがボトルネックとなり全体の業務効率が落ちてしまうかもしれません。
また、その方をサポートするために他の方の時間を割くようなことになれば、さらに効率は下がっていくでしょう。
会社全体で一定以上にコンピュータリテラシーを担保できていないと、業務効率が下がる危険性があることは否めません。
③情報流出を招く恐れがある
ネットワークリテラシーが低い場合、企業の情報流出を招く可能性もあります。
ここで注意しなければならないのは、情報流出が起きる可能性があるのはビジネスの場だけではないという点です。
そもそもの個人のITリテラシーが低いと、プライベートで使用しているメールやSNSから、企業の機密情報を流出させてしまう可能性もあります。
プライベートの場まで監視の目を光らせることは難しいため、ネットワークリテラシーを高めるための教育を行うことが、情報流出の危険性を下げるためのポイントの一つになるでしょう。
④IT化、デジタル化、DX化が進まない
業界業種を問わず、IT化、デジタル化、DX化を進むことが重要となっていますが、社内のITリテラシーが低いと、これらを展開する上で障壁となることは間違いないです。
全社的にIT化を進めるとなったとしても、実際にデータの入力や活用を進めるのは現場社員の方という場合の方が多いでしょう。
しかし、現場社員の方のITリテラシーが低いと、IT化に向けた業務に取り組む姿勢も消極的になってしまい、結果としてなかなかIT化が進まないといったことになりかねません。
コストのかかる、IT化、デジタル化、DX化ですが、これらを成功に導くためにも、土台となる従業員のITリテラシーの向上は欠かせません。
4.ITリテラシーを向上させる5つのメリット
ここまではITリテラシーが低いことによる危険性について解説しました。
そしてここからは、ITリテラシーを向上させることによって、企業にどんなメリットがあるのかについて紹介していきます。
①効率良く情報収集ができる
ITリテラシーが高ければ、インターネット上で検索し、正しい情報を取捨選択しながら集めることができるようになるため、効率良く情報収集ができるようになります。
必要な時に、必要な情報を収集できれば、結果的に生産性の向上に繋がっていくでしょう。
②情報漏洩のリスクを減らせる
従業員一人一人のITリテラシーが向上すれば、ヒューマンエラーによる情報流出の可能性が下がり、企業全体でのセキュリティ強化を図ることができます。
一度、情報漏洩が起きてしまうと、完全に情報を削除することは難しいため、事前にリスクを下げることができるのは大きなメリットとなるでしょう。
③問題発生後の対処が強化できる
万が一、情報流出などの問題が発生した時にも、ITリテラシーが高いことはプラスになります。
正しいITリテラシーが身に着いていれば、迅速に適切な対処を行うことができるため、被害を最小限に抑えることも可能となるでしょう。
④業務効率がアップする
コンピュータリテラシーが向上すれば、大幅に業務効率が上がるかもしれません。
パソコンの細かいショートカットキーを一つ覚えるだけでも、その場では数秒の削減かもしれませんが、長い目を持って考えると数時間分の削減につながることもあります。
パソコンを全く使わないという企業は稀有でしょうから、コンピュータリテラシーを向上させて業務効率を高めることは、すべての会社においてポイントとなります。
⑤社内のデジタル化を推進できる
従業員のITリテラシーを向上させれば、会社全体でのデジタル化を推進していくことができるでしょう。
企業規模や業界を問わず、IT化、デジタル化、DX化は今後必須の取り組みとなります。
これらを社内で上手く推進する、失敗するリスクを減らすためにも、従業員一人一人のITリテラシーを向上させることは大きなメリットとなります。
5.ITリテラシーを向上させる方法3選
ここからは社内の従業員の方のITリテラシーを向上させる方法をいくつか紹介します。
①社内研修を行う
一つ目の方法として、社内向けの研修を行うという手があります。
新しいシステムを導入したタイミングなどに合わせて、使い方やルールなどの研修を行うようにしましょう。
また、コンプライアンスに関する研修も定期的に行うようにしましょう。
研修の形態としては、従業員を集めて行うような形も良いですが、Eラーニングを活用して研修を行うのも良いでしょう。
Eラーニングであれば、従業員のレベルに応じて受講内容をカスタマイズすることも可能です。
自社の状況に合わせて、適切な形態で研修を定期的に行うようにしましょう。
②IT関連の資格取得の推進
IT関連の基礎的な資格取得を企業としてサポートすることも、ITリテラシーを向上させる方法の一つです。
IT資格の例としては、「ITパスポート」「情報セキュリティマネジメント試験」「パソコン検定」などが挙げられます。
こういった資格取得にかかるコストなどを企業としてサポートする、または資格取得手当を支給するなどで、従業員のモチベーションを高めながら、ITリテラシーを向上させることが期待できます。
③ITに触れる機会を作る
企業として、従業員がITに触れる機会を作ってあげることも重要です。
ITリテラシーは、座学だけではなく、実際にシステムなどを使っていく中で身に着いていく部分も大きいです。
まずは、比較的使いやすく、誰にでも使う機会があるようなシステム、社内チャットツールなどを導入してみるのが良いでしょう。
6.まとめ
いかがだったでしょうか?
ITリテラシーを向上させることは、どんな会社においても非常に重要なことです。
ITリテラシーが低いままだと、情報漏洩などの思わぬ事態に陥る可能性もあるため、企業として、ITリテラシーの向上に取り組んでいきましょう。
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